サロンでスタッフに教える時間がない理由|仕事を任せる前に必要な準備
スタッフを採用したら、少しは仕事が楽になると思っていた。
施術の準備や片付け、お客様対応を少しずつ任せられるようになれば、自分にも余裕ができるはずだった。
ところが実際には、スタッフへ仕事を説明する時間が増え、任せた準備やお客様対応を確認する時間も増えていきます。
教えなければ、スタッフは動けない。
スタッフへ仕事を教えようとしても、予約が入っていて時間が取れない。
結局、自分で動いた方が早いと感じ、サロンオーナーが準備やお客様対応を代わりに行ってしまいます。
忙しさを減らすためにスタッフを増やしたはずが、以前よりも一日が慌ただしくなり、「このままで本当に任せられるようになるのだろうか」という不安が残るのです。
この悩みが生まれる背景は、サロンオーナーの教え方やスタッフの能力だけが原因ではありません。
スタッフに教える時間が、最初から日々の業務に含まれていないことが大きく関係しています。
施術や会計を終え、掃除やお客様へのLINE返信にも対応してから教えようとすると、スタッフへの説明はいつも最後に回ります。
営業中に少し余裕ができたらスタッフへ説明しようと思っていても、その時間には、次のお客様の準備や予約変更への返信が待っています。
サロンでスタッフに教える時間は、手が空くのを待っていても、なかなか確保できません。
この記事では、教える時間がなくなる理由と、スタッフに向き合う時間が取りにくくなる背景を、エステティックサロンの日々の業務に沿って解説します。
Contents
サロンでスタッフに教える時間がない理由
サロンでスタッフに教える時間がなくなるのは、一日の業務の中でサロンオーナーの施術やお客様対応が優先され、スタッフへの説明が営業後に回ってしまうからです。
新人が入社した直後は、備品の場所や掃除の順番、予約の確認方法から教え始めます。
お客様を施術室へ案内するまでに必要な準備も、一つずつ伝えていきます。
さらに、お客様が来店した時の声かけやカウンセリング前の準備、使用した備品の戻し方まで教えなければなりません。
次のお客様が来店するまでに、片付けや準備をどの順番で行うのかも伝える必要があります。
その一方で、サロンオーナーにはこれまで通り予約が入り、施術に加え、お客様から届く相談への返信も続きます。
スタッフが加わると教える仕事は増えますが、サロンオーナーが担当していた業務は、すぐには減りません。
施術や予約対応はこれまで通り続きます。
さらに、準備やお客様への案内が、教えた通りにできているのかを確認する仕事も増えます。
その中で教える時間を取ろうとしても、施術や予約対応が終わるまでは、スタッフへの説明を始められません。
営業中は目の前のお客様への対応が先になり、スタッフへの説明は営業後へ回ってしまうためです。
サロンオーナーは、教える時間が確保できないまま、施術やお客様対応を優先せざるを得ません。
その合間に仕事の進め方を伝え、準備やお客様への案内が伝えた手順どおりにできているのかも確かめています。
このように、スタッフが入った後も、実際にはサロンオーナーが行う施術や予約対応はほとんど減っていない状況で、一日の時間が以前よりも足りないように感じます。
採用後もサロンオーナーの仕事はすぐには減らない
スタッフを採用した直後は、一人で任せられる仕事が限られています。
掃除や準備を任せる時に必要なのは、備品の場所や作業の順番を一つずつ伝えることです。
作業後には、タオルや化粧品が正しく用意されているのかまで確かめなければなりません。
使用する化粧品や備品に不足があると、施術が始まってから準備をやり直すことになり、お客様を待たせてしまいます。
そのため、一度作業の順番を説明しただけでは、すぐにすべてを任せられるわけではないのです。
サロンオーナーは、自分が担当する施術を進めながら、新人の準備やお客様への案内にも目を配ります。
施術室から出るたびに備品の置き方を整え、会計前にはお客様へお伝えする内容も、その場で説明しています。
次のお客様が来る前には、準備が整っているところまで見届ける必要があります。
一人で経営していた時には、自分の判断でその場その場で臨機応変に進めていた仕事です。
状況によって判断も変わるため、スタッフが加わっても、サロンオーナーの仕事がすぐに減るわけではありません。
自分が担当する施術やお客様対応を続けながら、スタッフへ仕事の進め方を説明し、任せた準備や接客ができているのかも確認します。
施術や会計、予約対応の量が変わらないまま、スタッフへの説明と任せた仕事の確認が増えるため、「人が増えたのに、以前より忙しくなった」と感じるのです。
スタッフが一人で仕事を進められるようになるには、同じ仕事を何度か経験しながら、少しずつ任せられる範囲を増やしていく時間が必要です。
スタッフが加わった後も仕事が減らない背景をさらに知りたい時は、サロンでスタッフを入れたのに仕事が増えてしまう背景もあわせて読むと、一緒に働き始めた直後に忙しさが増える理由を理解しやすくなります。
お客様対応がスタッフに教える時間より先になる
営業中にお客様が来店すれば、スタッフへの説明よりも、お客様への対応や施術が優先です。
予約時間が近づくと、施術室を整え、タオルや化粧品を確認してカルテを用意します。
電話が鳴れば予約状況を確かめ、LINEで相談が届いた時には、内容を読んで返信しなければなりません。
掃除や準備の手順を説明している途中でも、お客様が来店すると、その場で話を止めることになります。
予約変更の連絡が入った時も、空いている日時を確認し、お客様への返信が優先です。
その結果、説明の続きは、「営業後にもう一度伝えよう」と後回しになってしまうのです。
施術や予約対応は始める時間が決まっていますが、スタッフに仕事を教える時間は、一日の予定に入っていません。
スタッフへの説明を後回しにしたいのではなく、お客様を待たせないための対応を重ねるうちに、教える時間が営業後へ押されていたのです。
自分で動く方が早いと感じる
忙しい時間帯には、スタッフへ説明するより、自分で準備を終えた方が早いと感じます。
タオルの場所や枚数、並べ方を一つずつ伝えるより、サロンオーナーが動いた方が数分で終わります。
予約が続いている日は、その数分さえ説明に使えないほど余裕がありません。
新人に任せた準備や案内に間違いがあれば、やり直す時間も必要です。
お客様を待たせたくない気持ちから、サロンオーナーが先に動いてしまいます。
目の前の準備は早く終わりますが、これではスタッフは自分で順番を考えながら進める経験ができません。
次に同じ準備が必要になった時も、スタッフは「これで合っていますか」と確認します。
サロンオーナーは再び説明する時間がないと感じ、自分で対応してしまいます。
教える時間が取れないまま準備や案内をサロンオーナーが行い続けると、スタッフが自分で進める場面そのものが少なくなります。
そのため、次の準備やお客様対応も任せにくくなってしまいます。
次のお客様を迎えることを考えれば、自分で動いた方が早いと感じるのも自然です。
ただ、その判断を繰り返すほど、スタッフが自分で準備やお客様対応を行う機会は減っていきます。
任せる気持ちがなかったのではありません。
スタッフに任せるための経験の場を、サロンオーナー自身が先に埋めてしまっているのです。
忙しいサロンでスタッフ育成が後回しになる背景

【サロンでスタッフに教える時間は自然に生まれるものではなく、毎日の業務として順番と内容を決めることが大切です。】
忙しいサロンで教える時間がなくなる理由は、予約の多さではありません。
スタッフに教える時間が最初から予定に入っていないため、予約やお客様対応が増えるたびに、説明はあとからになってしまいます。
施術の合間に話そうと思っていた掃除や準備、接客の注意点も、会計や片付けが長引けば、そのまま次の予約に入ることになります。
営業時間が終わってから説明しようとしても、カルテの記入やLINE対応、翌日の準備が残っています。
スタッフに仕事を教える時間を日々の業務とは別に考えてしまうと、施術や片付けが終わる頃には、説明する時間が残りません。
施術や予約対応は、始める時間が決まっています。
スタッフへの説明は、一日のどの時間に行うのかが決まっていません。
そのため、忙しい日ほど、サロンオーナーは来店中のお客様への対応を優先します。
それは、お客様を待たせないための自然な判断です。
ですが、その判断を積み重ねると、スタッフに仕事を教える時間が一日の中からなくなってしまうのです。
営業後に教えようとしている
営業中はお客様がいるため、落ち着いてスタッフへ仕事を教える時間を取りにくくなります。
そこで、「営業が終わってから説明しよう」と考えます。
最後のお客様を見送った後なら、お客様の前で指導する心配もなく、落ち着いて話せるように感じるからです。
でも実際には、最後のお客様を見送った後は、片付けや翌日の準備が残っています。
施術室の片付け、タオルの整理、会計の確認までが営業後の仕事です。
その後も、カルテの記入や予約変更への返信が残っています。
スタッフも一日の業務を終え、集中力が落ちています。
その時間から技術や接客について細かく伝えようとしても、サロンオーナーもスタッフも疲れています。
伝えたい内容が多いほど説明は長くなり、帰る時間も遅くなります。
こうなると毎日続けることが難しくなり、「今日は時間がないから、また明日にしよう」という日が増えていきます。
営業後に教える形では、片付けや予約対応を終えた後にしか、スタッフへ説明できません。
教える気持ちが足りないのではなく、スタッフに仕事を教える時間が、一日の最後に回ってしまっています。
まとまった時間が必要だと思っている
スタッフに仕事を教えるには、一時間ほど予定を空け、最初から最後まで説明しなければならないと考えるサロンオーナーもいます。
技術練習では、施術の流れを通して見せた後、スタッフにも同じ施術を繰り返してもらいます。
接客についても、お客様の迎え方から施術後の案内まで、まとめて説明した方が分かりやすいと考えがちです。
そのため、十分な時間を確保しようとして、予約のない日や営業時間外へ予定を入れることになります。
ところが、予約が入れば練習は延期です。
営業時間外には、片付けや翌日の準備も残っています。
まとまった時間を待つほど、スタッフに仕事を教える予定は先へ延びていくのです。
一方で、日々の業務の中にも、短時間で教えられる内容はあります。
お客様が来店する前は、タオルの枚数を一緒に確かめる時間です。
電話が鳴った時には、予約表のどこを見るのかをその場で伝えます。
施術後の片付けをしながら、化粧品を戻す位置や次の準備について話すこともできます。
このように技術練習にはまとまった時間が必要ですが、準備や接客の注意点は、毎日の仕事の中でも伝えられます。
技術練習と日々の説明を分けて考えられていないと、本来なら少しずつ伝えられる時間まで、まとまった時間の中に含めて考えてしまい、スタッフへの指導が進みにくくなるのです。
教える内容を一度に考えすぎている
新人には、掃除や準備のほかにも多くのことを伝えます。
お客様への挨拶や電話対応、予約確認に加え、カウンセリング前の準備から施術中の動き、会計や片付けまで教えます。
伝える内容が多いほど、「時間がある時にまとめて教えよう」と考えやすくなります。
ところが、サロンオーナーには施術やお客様対応があり、まとまった時間はなかなか取れません。
教える内容が多いほど、どこから始めればよいのか分からなくなります。
掃除と接客のどちらから教えるべきなのかと迷い、施術準備を先に覚えてもらうべきなのかも決められません。
迷っている間にもお客様は来店し、その日の業務が始まります。
結局、目の前で必要になった準備や接客を短く説明します。
そうなるとスタッフは一部の作業を覚えますが、仕事全体のつながりや優先順位までは分かりません。
伝えることが多い時ほど、最初に任せたい仕事を決め、そこから順番に教える必要があります。
何から教えるのかが決まらないままでは、スタッフは目の前で必要になった作業だけを覚えることになります。
日々のサロン業務にスタッフへ教える時間を含める

【サロンでスタッフに教える時間は、準備や接客など毎日の仕事に組み込むことで確保しやすくなります。】
スタッフに仕事を教えることも、施術や準備と同じように、毎日のサロン業務の一つです。
スタッフに仕事を教えることをサロン業務の一つとして考えていないと、スタッフへの説明は、いつも手が空いた時に行うものになります。
予約が増えると、準備や接客を伝える時間は後回しになりがちです。
予約対応やお客様からの相談への返信が長引けば、続きは翌日へ持ち越すことになります。
一方で、スタッフに仕事を教える時間を毎日の予定へ組み込む時は、一日の最後にまとめて教えるのではなく、どの仕事で何を伝えるのかをあらかじめ考えます。
朝の準備では、タオルや化粧品を用意する順番を一緒に確認します。
お客様を迎える前には、予約内容を見ながら施術室を整える流れです。
電話が鳴った時には、予約表のどの項目を確認するのかを伝えます。
施術後の片付けでは、次のお客様を迎えるまでに必要な作業を一緒に進めていきます。
このように、仕事の場面ごとに伝える内容を決めておくと、スタッフへの説明を毎回営業後へ回さずに済むようになります。
スタッフに仕事を教える時間を確保するために、営業時間を長くしたり、休みを減らしたりする必要はありません。
これまでサロンオーナーが一人で行っていた準備や接客の中で、スタッフへ伝える時間を取ります。
あわせて、スタッフが実際に準備や接客を行う時間も必要です。
教えるために、営業時間外へ新たな時間を加える必要はありません。
毎日の仕事の中に、教える場面と任せる場面を見つけていくことも、スタッフを育てる大切な仕事です。
最初に任せる仕事を決める
スタッフへ伝える内容をすべてまとめて考えると、教えるためには長い時間が必要だと感じます。
掃除や準備から接客、電話対応までを一度に教えることはできません。
まずは、スタッフに任せたい仕事を一つ決めます。
例えば、施術室の準備から始めるなら、どのメニューを最初に担当してもらうのかを決めます。
フェイシャルとボディのどちらを先に教えるのかが決まると、最初に伝える内容も絞りやすくなるのです。
電話対応を任せる場合も、初めから予約確定まで求める必要はありません。
お客様の名前と連絡先を確認し、サロンオーナーへ引き継ぐところが最初の役割です。
一つの仕事に絞ると、何を説明し、どこまで一人でできるようになれば任せられるのかが明確になります。
スタッフにとっても、最初に覚える内容が分かりやすくなります。
サロンオーナーも、一人で任せられる範囲を判断しやすくなるのです。
教える内容が多かったのではありません。
最初に任せる仕事が決まっていなかったため、教える範囲も確認する基準も見えにくくなるのです。
教える場面を日々の仕事の中で決める
教える時間を作る時は、何時から何時までと時間で決める方法に限りません。
日々の仕事の中で、どの場面で何を伝えるのかを決めておくこともできます。
例えば、朝の準備では、予約内容を確認する流れを説明します。
お客様が来店する前には、施術室を整えながら、どこを見るのかを一緒に確かめます。
施術後には、次のお客様を迎えるまでに必要な作業を一緒に進めます。
会計では、金額を伝える前に確かめる項目や、次回の来店予定をお客様に伺うタイミングを伝えます。
実際にその仕事を行う場面で伝えると、スタッフは説明を聴くだけではなく、同じ流れで動きながら覚えられます。
サロンオーナーも、新たに長い時間を確保せず、実際の作業に合わせて教えられます。
準備、接客、予約対応、片付けを場面ごとに分けると、毎回まとまった時間を作らなくても、伝える内容を整理しやすくなります。
教える余裕がなかったのではありません。
日々の仕事のどの場面で何を伝えるのかが決まっていなかったため、スタッフへの説明が後回しになっていたのです。
まとめ|サロンでスタッフに教える時間は自然には生まれない

【サロンでスタッフに教える時間が決まっていないと、予約やお客様対応を優先するたびに育成が後回しになります。】
スタッフを採用したら、少しずつ仕事を任せられるようになり、サロンオーナーの負担も減るだろうと考えます。
人が増えれば、施術準備や片付け、お客様対応を分けられるように感じます。
実際には、スタッフを迎えた直後こそ、仕事を任せる前の説明が必要です。
そのうえで、実際に行ってもらい、任せられる部分と、もう一度伝える部分を確かめます。
こうした時間を日々の業務に含めていないと、施術やお客様対応が先になり、スタッフへ教える時間は後回しになります。
教える時間が取れないため、サロンオーナーが自分で準備や予約対応を行います。
スタッフは一人で仕事を進める経験を積めず、次もサロンオーナーへの確認が必要になります。
サロンオーナーが準備や予約対応を抱え続ける状況は変わりません。
サロンでスタッフに教える時間は、営業が落ち着いた時に自然に生まれるものではありません。
準備から接客まで、どの仕事で何を伝えるのかを考えます。
あわせて、予約対応や片付けについて伝えるタイミングも決めておく必要があります。
スタッフへ仕事を教えることも、毎日のサロン業務の一つです。
教える時間と順番が明確になれば、最初に何を伝え、どこまでスタッフに任せるのかが分かります。
スタッフに教える時間がないことを、自分の努力不足だと考える必要はありません。
これまで見えにくかったのは、説明する時間に加え、実際に任せて経験してもらう時間も必要だということです。
感覚で毎日の仕事を回していると、施術やお客様対応が先になり、教える時間はどうしても後ろへ回ります。
だからこそ、スタッフに仕事を教えることも、感覚ではなくサロン経営として考える必要があります。
JESMAでは、スタッフを採用した後の仕事の教え方や任せ方を、エステティックサロンの現場で起きる悩みに沿って学べる動画シリーズをお届けしています。
忙しさの中で、なぜ教える時間を確保できないのかを理解し、日々の仕事の中でスタッフに何を任せるのかを考えていきます。
これからスタッフをどのように育て、どこまで仕事を任せていくのかを見直すきっかけにしてください。